コラム詳細

『“できること”と、“したいこと”を』

人の暮らす部屋 vol3
2021.01.13

「もう全部隠しちゃおう」。
文具・オフィス家具メーカーに勤める宮下俊樹さんが暮らすのは中野区のマンションの一室。コンクリート壁とステンレスのキッチンがクールなワンルームだ。とても丁寧に整えられているように見えるが、「本当に、全然きれい好きじゃない(笑)」と宮下さん。お話を聞いていると「好きなものと興味のないものがはっきりしている」という宮下さんの価値観がよく見えてきました。



●一旦全部しまってみる

もともと大雑把で、全然きれい好きじゃないんです。学生時代に無印良品で働き始めてから収納を考えるようになって、「一見きれいに見える」みたいな状態を心がけるようになりました。よく“見せる収納”とかありますけど、俺はああいうことが全くできないので、もう全部隠しちゃおうと。なんでも収納ボックスなどにしまって、見えないようにする。

見事なキッチン収納。ラックとコンロのわずか十数センチの隙間にカトラリーの入った半透明ケースが並ぶ。下段の白いボックスの中身はお皿類。


置き場所に困ったものは、とりあえずの場所にしまいます。卓上コンロも、今ここ(事務用の書類収納ボックス)に縦に入ってて。本当はキッチンの下に置きたかったけど、置くとこないからどこでもいいやって(笑)。パズルみたいにぴったりなところを見つけていくというか。新しく何か買うたびに「どこにしまおうかな」って考えてますね。

事務用の書類収納ボックスにすっぽりとおさまった卓上コンロ。「パソコンもそのへんのどっかに入ってて。何でもそこに入れます」(宮下さん、以下同)

散らかって見えがちな配線は、結んで木箱にしまう。「無印時代、家具を組み立ててディスプレイするときに、配線を隠す作業があってよくやってたんです」



●なんにでも使えそうな家具を

昨年、この部屋に引っ越してきたんですけど、内装が素敵で一目惚れでした。あと、家具が全部ハマったんですよ。この部屋のために買ったんじゃないかと思うほどぴったり。何も買い足してないんです。

家具選びに特に強いこだわりはないんですけど、何にでも使えそうなものを買いますね。このテレビ台も本当はテレビ台じゃなくて。前の家ではキッチンの収納につかってました。スツールも誰かが遊びに来たら座る用だけど、普段はサイドテーブルとかにも使えるようなものを選びます。そういうものばかりだから全部揃っちゃってて、家具はもう買うものがないです(笑)。

棚板の高さを自由に決められる棚を選べば、用途に合わせて組み替えができる。



●好きなことできたら、ハッピー

家は自分がくつろげる場所にしたいです。休日は予定がないとずっと家にいちゃうので。今日もずっとベッドでゴロゴロしてました。ドラマや映画が好きなので、ひたすらそれを見漁ったり。「豊かな暮らし」と言われると難しいですが…自分の好きなことをできる状態が大事じゃないですかね。俺だったら、映画とかドラマをいっぱい見たいし、趣味の海外旅行もいっぱい行きたい。地元が大好きなのでよく帰ったり、人と会って話したりしたい。そういうことがちゃんとできていると、豊かかはわからないけど、なんていうかハッピーだなって思います。

壁に貼られている3枚のカードは、海外旅行好きの宮下さんが集めたメトロカード。「上からスペイン、ロンドン、台北。自分の携帯のケースにはニューヨークのメトロカードを入れてます。ニューヨークのペラペラなカードって、全然通らないんですよ(笑)。これ、廃止になっちゃうから、ちょっと寂しい…」

すっきりとした部屋に息づく、宮下さんのさっぱりとした、且つ、ブレない価値観。迷いの少なさと好きなものへの愛が、この部屋のクリアな空気を保っているように思います。宮下さん、ありがとうございました。

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